とある講師の冒険譚

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【意見】新型コロナによる休校の再延長ー夏休みの短縮や9月入学・新学期は妥当か?ー

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新型コロナウイルスの感染拡大に対して、政府が緊急事態宣言の延長を検討している中、今月末までの休校延長を決定した自治体は増えている。新型コロナウイルスが依然として猛威を振るう中、6月以降の見通しも不透明になりつつある。

安倍首相も先月29日の衆議院予算委員会にて「9月入学・始業」を検討する意向を示した。自治体によっては夏休みの大幅な短縮(お盆休みを除く休業ゼロなど)を発表した所もある。

もちろん今回の休校措置によって失われた授業時間数の確保は必要だが、長期休暇の削減や入学・始業時期をずらすことが妥当かどうか、その問題点と課題について今回は話していきたいと思う。

 

 

夏休み短縮や9月入学・始業の問題点や課題

「現在通常通り学校を開いている地域と休校している地域では学力の差地域格差を生じかねない」と危惧する声もあり、夏休みの短縮や9月入学・始業に賛同する意見が多いのも事実である。

もちろん授業時間数の確保は必要だが、実施には問題点や課題がある。今回はその問題点と課題について紹介し、その対策についても言及する。

 

 

問題点① 学校に通う期間が増える

夏休みの短縮9月入学・始業にすると、現在の小中高生ならびに大学生は単純に1ヶ月から半年間学校に余計に通わなければならなくなる。

一見よいことのように聞こえるかもしれないが、休校措置と外出自粛でストレスを抱えている子どもたちにさらなる時間的な拘束を課すことにつながりかねない。

子どもたちの将来や人生は学校生活だけで決まるものではない。当たり前の話だが、休校中に自由時間が増えることで、好きなことに打ち込むことができ、充実している子もいることだろう。

私たち大人は子どもたちの学びや生活が充実するようにサポートをしていくべきである。家庭教育や子どもたちの自主学習任せではなく、家庭学習が厳しい子どもたちに手厚い支援を考えていくことが重要である。

 

 

問題点② コスト(学費や生活費)が余計にかかる

夏休みの短縮や9月入学・始業は、高校生や大学生らにとっては学費や生活費が余分にかかることになる。政府や自治体、大学でなにか支援策が講じられるかもしれないが、全額が補償されるわけではないので、自腹をきることは覚悟しておいたほうがよい。

 

 

問題点③ 医療、介護、保育など人手不足が加速する

高校生や大学生、専門学校生らの卒業も約半年遅れるので、医療、介護、保育など人手不足の業界ではさらなる人手不足となる可能性がある

新型コロナウイルス感染拡大の影響で未曾有の不景気になる可能性もあり、新規採用を減らす企業も多いことだろう。すでにリストラや雇い止めも行われている。来年や再来年の3月には、卒業しても就職できない学生がたくさん出てくるかもしれない。

一方、医療崩壊が心配されているように医療現場にはもっと人手が必要とされている。ただ現時点で医療機関は人手不足に陥っている。その上にさらに夏休みの短縮や9月入学・始業を進めると、医学部や看護学校等に通っていた学生も半年分就職が遅れることにつながる。しかも、これらの業界へは簡単に人の移動や転職ができない。

 

 

夏休み短縮や9月入学・始業への対策

上記で紹介したように夏休みの短縮や9月入学・始業を実施する上では問題点や課題があることが分かる。ただ現時点では他に選択肢がないようにも思える。

そこで、実施する上で考えられる対策を紹介していく。

 

対策① 単純に授業時数を増やす(土曜授業の実施など)

1番に考えられる対策としては「授業時数を増やす」ことが挙げられる。 具体的には、夏休みの短縮や1日の授業時数を増やすこと(平日の6時間目以降に授業を加えることや補習を実施するなど)、土曜授業の実施などである。

授業時数を確保できるという意味では1番実行しやすい対策ではある。ただ子どもたちへの配慮が欠けることは否めない。楽しみにしていた夏休みが大幅にカットされ、あるいは土曜日にも来いと言われ、学習意欲が高まる子は少ないだろう。となると、教育上の効果は高いとは言えない。

 

対策② 授業のスピードを上げる(ICTの活用や協同学習など)

教科の特性や単元への配慮が必要となるが「この単元は例年よりも簡単に扱い、この単元は詳細に取り組む」といったようにメリハリを付けて授業を行うことが考えられる。

教科や単元によっては家庭学習において予習を行って授業に要する時間を減らしたり、練習問題や宿題はICTを活用して、個人に応じたものを課すことで児童生徒の習熟・習得を見極めてスピードアップを図るといった対策が必要となる。

 

対策③ 学習内容を減らす

さらなる休校が予測されること、学校が再開できたとしてもすぐには通常通りにはいかない可能性もあることを考慮すると、残り期間で習得を目指す学習内容を減らすという対策が考えられる。

その際には文科省が「学習指導要領上でこことここは今年はやらなくてもいいです」と示すことが必要となる。その方針に沿って教科書のこの範囲は今年は実施しない(来年度以降扱ってもいい)といったように柔軟な対応が必要となってくる。

 

 

最後に…

対策としては上記の3点が考えられるが、よい点ばかりではなく問題点や課題があることは言うまでもない。ただ休校措置を延長したとはいえ早急な対策が必要であることには変わりない。

とはいえ1年間のカリキュラムを消化することが目的化しないでほしい。私たちが重視するべきは「子どもたちが学ぶ意欲をもち、毎日楽しさや充実感を感じ、いろいろなことに興味をもち学び続けようと思えるようにしていくこと」なのです。

真に重要なものは何かを考慮して、子どもたちや教員、社会への影響などを検討し、よりよい対策を選択して実行しくことを切に願う。